昔のこと
今は無き池袋のボビーズバーで教えてもらったシングルモルトの味。
20代前半、いつも帰る時間は早くて22時過ぎ。
遊ぶ時間もほとんど無く、ほぼ毎週土日出勤していた。
金曜・土曜の夜、ちょっと一杯。一人で立ち寄れる場所がそこだった。
0時過ぎにバーに行くことも度々。
店主のボビーさんはいつも優しく、いろいろな酒を教えてくれた。
アホみたいに辛い特別製ブラッディ・シーザーも作ってくれた。
「まだ飲んじゃダメ」目の前でギネスをいつもおあずけ。
泡で作ったクローバー模様が消えるまで、一人で行く俺は手持ち無沙汰にしたもんだ。
しょうがないのでいつもナチョス食ってた。
ウィスキーが好き、といったら、いろいろなシングルモルトを教えてくれた。
その中でもCaol ila(カリラ)というのが一番好きになった。
12年モノであれば、成城石井でも売っている。ちょっと高いけど。
バーなので、シングルモルトはシングルで大体1000円。
16年とかだと2000円くらい。
30年だと1万円するものも。ちょっとだけ飲ませてもらったこともあるけど、「美味しかったという感想」しか憶えてない。
週に一回は必ず行っていた。
毎日があまりにも虚しかったもんだから、大体閉店(2~3時頃?)までグダグダと。
一回で2万円以上飲んだこともあったような。
そこそこの上客だったのか、帰らないしつこい客として認識されていたのか。
ボビーさんには閉店後に一緒にカラオケに連れて行ってもらったり、行きつけの店でシシケバブをごちそうになったこともあった。
刹那的だったけど、楽しかった。
20代後半になって、たまに家でもシングルモルトを飲んだりしてた。
俺はあまり家で飲む人間ではなく、飲まない日がほとんど。
それでも、一人でも飲みたくなることはある。
ボビーズバーはずいぶん前になくなってしまった。
給料日後などのお金に余裕のあるときはカリラや白州、それ以外のときはもう少し安いシングルモルトを買って飲んでいた。なんでもないときも、特別でないときも。
大体、一晩で瓶の半分くらい飲んでたか。
やっぱ虚しいときだったのかなあ?
結構フラフラになるまで飲んでた気がする。家で一人で。
今は家で飲むとしたら、1000円未満で買えるトリスやブラックニッカ。
余裕があっても角瓶とか。
シングルモルトは、「同僚と・友達とバーに行く」「親父と家で飲む」などの特別な時しか飲まなくなった。
あんま「一人で飲む用」として買う気がしない。大好きなんだけど。
特別な時以外に飲むのがもったいなく感じるようになった。
なんだろう、一周回ってみたいな感じか?
一人で飲む=酔いたいだけの時、いつからかそう認識したため、シングルモルトじゃもったいないんだよな。
ただ酔うだけなら安いので十分。ハイボールにすればそれでもうまい。
角瓶なんてストレートでもロックでも十分うまい。ちょっと甘くてねっとりすぎるけど。
一回ビンボーを味わったからなのか、金の使い方が少々マシになったからなのか。
この心境の変化はよくわからない。
前者は結構ある気もする。後者はないか、今でも思い切った買い物は多いし。
少しは虚しさを飼いならせているのか、更に良くない深みにハマりつつあるのか。
……なんか退廃的だな、アカンアカン
そんなときはtanasinnでも見つめてフワフワしておこう
【今日のまとめ】
・カリラ美味しいです。ノンベの親父に買っていったら「お前が全部飲んでいい」って全否定されたけどな
・tanasinnってGoogle日本語入力で「たなしん」から変換出来ないのをはじめて知った
・そろそろコンビニのおねーちゃんに「いつも安ウィスキー・ロックアイス・ウィルキンソン炭酸買っていく中年」として憶えられている希ガス
・ウィスキー飲んでいれば太らない、はアマチョフ
・明日もまた頑張れるのであろう
以上